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技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO75

今日は点検及び健全度評価の手順について記載します。(NO73の続きです)

点検及び健全度評価の手順
点検及び健全度評価は以下の手順に基づいて実施するものとする。

1. 定期点検及び臨時点検
・定期点検は、点検計画に基づき実施するものとし、目視点検を基本とする。本体、構造物取付部、堆砂地を含む設備周辺等の漏水・湧水・ひび割れ・洗掘・亀裂・破損・地すべり等の有無、設備および施設に直接影響を与える周辺地域の状況等を点検する。

・臨時点検は、原則として豪雨発生時や地震等が発生した流域等において事象の発生直後の 出来るだけ早い時期に実施するものとし、定期点検に準じて目視による点検を基本とする。

2. 詳細点検(必要に応じて)
定期点検や臨時点検において、その変状の状況をより詳細に把握する必要があると判断される場合や変状の原因把握が困難な場合に「詳細点検」を実施する。「詳細点検」は、機能低下や性能の劣化の状況を定量的に把握するために実施するものであり、必要に応じて詳細な計測を行うこととする。

3. 部位単位の変状レベルの評価
部位単位の設定方法を、下記に示す。
砂防堰堤→本堤基礎、水通し部、本体、袖部、前庭部の部位に区分
・渓流保全工や流路工→適宜、区間を縦断的に区切る・左右岸で分ける
・地すべり防止施設→機能と位置関係や規模を考慮し、工種毎にグループにまとめる
・急傾斜地崩壊防止施設→地形条件や、保全対象の立地状況などにより、連続する斜面を分割し斜面単位ごとにグループ化する
砂防設備等の各部位の変状レベルの評価は、変状レベルに応じて次の通り評価する。
a.異常なし、または軽微な損傷
b.損傷があるが、機能・性能低下に至っていない
c.機能・性能低下あり

4.施設周辺の状況の評価
・砂防設備→ 渓流の流水の有無、部位の変状場所と流水との位置関係(水衝部であるかなど洪水時の流水とその変状発生部分との位置関係)、流下が想定される付近の大径礫の有無、湧水等の有無、堰堤等の基礎の地盤条件や渓床変動の有無などを確認。

・地すべり防止施設及び急傾斜地崩壊防止施設→ 施設に近接する斜面周辺に発生した亀裂、陥没、隆起、崩落、湧水等の変状の有無及び変状の発生した当該部位との位置関係などを確認。

5.施設(あるいは施設群)の健全度評価
施設の健全度評価は、定期点検及び必要に応じて実施される詳細点検等の結果に基づき、部位ごとの変状レベルを評価した上で(必要に応じ部位グループをまとめて変状レベルを評価する)、流域や当該地すべり地等の施設周辺の状況も踏まえ、施設あるいは施設群全体について 総合的に健全度を評価する。

 

今日のコラム

小説について、「坂の上の雲」の作者司馬遼太郎の言葉を紹介します。

小説とは要するに人間と人生について、印刷するに足りるだけのない事かを書くというだけのものだが、それを書けばいいというものの、この作品の場合、成立してわずかに三十余年という新興国家の中での人間と人生であり、それらの人間と人生が、日露戦争という、その終了までは民族的共同主観のなかではあきらかに祖国防衛戦争だった事態の中に存在しているため、戦争そのものを調べねばならなかった。とくに作戦指導という戦争の側面ではあったが、もしその事に関する私の考え方に誤りがあるとすればこの小説の価値は皆無になるという切迫感が私にあった。その切迫感が私の四十代のおびただしい時間を費やさせてしまった。
満州における陸軍の作戦は、最初から自分でやってみた。満州への軍隊輸送から戦場におけるその展開、そしてひとつひとつの作戦の価値をきめることを自分ひとりの中で作業してみるのである。戦術的規模より戦略的規模で見るようにしたため、師団以上の高級指令部のうごきや能力を通じて、時間の推移や事態あるいはその軍隊運用の成否を見てゆこうとした。

これらの言葉からは、名著を残すために必要としたエネルギーや努力の一部が伝わってきます。気の遠くなるような、時間と思考のすえにこの物語は作られていたのです。まさに、プロフェッショナルの仕事ですね。