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技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO69

今日は、「砂防事業に関する費用便益分析」の概要についてです。

 

砂防事業に関する費用便益分析の基本的な考え方
■防災事業の主な効果項目
「人的損失額」の軽減、「物的損失額」の軽減、「被災の可能性に対する不安」の軽減の3 項目が基本。

■効果項目
・土砂災害などによって生じる直接的または間接的な資産被害の軽減
・上記によって生じる可処分所得の増加や山地森林の保全効果
・土砂災害が減少することによる土地利用可能地拡大効果・産業立地進行効果に伴う効果
・治水安全度の向上に伴う精神的な安心感の向上効果
また、これらに関連した様々な波及効果も加わり、安全で安心な社会活動を支えている。

■砂防事業の具体的な効果
1被害抑止効果
「被害抑止効果」「応急対策費用抑止効果」「人身被害抑止効果(医療費)」「資産被害抑止効果」「稼働被害抑止効果 (事業所、家計、観光)」「交通途絶による波及被害抑止効果」「精神的被害抑止効果」「公共土木施設等被害・山地森林被害抑止効果」「一般資産被害抑止効果」「人身被害抑止効果(逸失利益)」「営業停止被害抑止効果」「ライフライン切断による波及被害抑止効果」「国・地方公共団体の災害時の土砂撤去費用等削減」など

2被災可能性に対する不安の軽減に係る効果等
「安心感向上効果」「土地利用高度化効果」「土地利用可能地拡大効果」「産業立地進行効果」「定住人口維持効果」「地価に及ぼす影響効果」「CO2吸収効果」など

■費用便益分析にあたっての注意点
砂防事業の効果は、各々の特性を踏まえ、二重計上することなく各々の効果を貨幣換算しなければならない。

■検討の基本方針
 費用便益分析の基本的な検討方針は、砂防設備の整備(及び維持管理)に要する費用と、砂防施設の整備によってもたらされる便益について、評価期間中に発生する毎年の費用と便益を現在価値化し、それぞれを評価期間内で合計した総費用と総便益を比較することによるものとする。
 砂防設備の整備及び維持管理に要する費用と、砂防施設整備によってもたらされる便益について、評価期間中に発生する毎年の費用と便益を現在価値化し、それぞれを評価期間内で合計した総費用と総便益を比較する。このため、評価時点を現在価値化の基準点とし、砂防設備の整備期間と砂防設備の完成から50 年間までを評価対象期間にして、砂防設備の完成に要する費用と砂防設備の完成から50 年間の維持管理費を現在価値化したものの総和から総費用を、年平均被害軽減額を現在価値化したものの総和から総便益をそれぞれ算定する。
 火山噴火や河道閉塞などのうち、規模別の発生確率を十分な精度で定量的に評価できる長期間の観測データがなく、かつ発生確率の予測技術が確立していない現象に関する便益については、過去概ね100年以内に発生した現象と同程度の現象(規模)を対象に算出する。各年の年平均被害軽減額は、1回発生した場合の被害を、過去の実績から1回発生すると考えられる期間で除したものとし、総便益は、評価期間中に発生する便益を現在価値化し合計したものとする。

●総便益の算出
①整備期間内に発生する便益
Σ((〈年平均被害軽減額〉×〈年間投資額/整備期間内投資総額〉)の累計)
②整備終了後50年間(供用期間)の年平均被害軽減額の総計
Σ(〈年平均被害軽減額〉×50年)
③残存価値(供用後に残る経済的価値)
想定氾濫区域の設定(複数の生起確率)(事業を実施した場合、しない場合)
各生起確率の被害軽減額の算出
年平均被害軽減額の算出
Σ(〈区間平均被害軽減額〉×〈区間確率〉)
総便益の算出 総便益(B) = ①+②+③

●費用の算定
「施設計画」、「投資計画・整備計画の想定」及び「総費用の算出」からなる。

(※具体的な手法は次回に続く)

 

今日のコラム

 坂の上の雲から、日露戦争時の日本軍の強みについての下記の記載がありました。
「ロシア側はつねに将校という頭脳を必要としたが、日本側には下士官や兵というレベルにおいて、すでに状況判断能力というものをもっていた。この理由においては日本側が国民の識字能力において圧倒的に高いということもあるかもしれないが、あるいは社会の性格にもよるかもしれなかった。日本の庶民階級は江戸時代から既に相互刺戟が強くある程度利発でなければやっていけない本然の状態が存在していた。
日本軍は火力の劣勢を肉弾でおぎなうほかなく、げんにそれを遂行し、兵士たちもそれに耐えた。この日露戦争の段階にあっては、軍隊素質は日本が世界一だったであろう。」

軍隊の話ですが、ビジネスにおいても十分通用する話ではないでしょうか。明治時代の日本人の人間力(およそほとんどの人が優れた状況判断力を有していた点で)は世界一だったのかもしれません。やはり教育は国の礎になるものですね。