スポンサードリンク

技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO23

インフラのストック効果について考えます。

メンテナンスはセカンドステージに入っていると言われている。今後の社会資本整備は、維持管理やストック効果の最大化をこれまで以上に重視する傾向にあり、「見える化」や「見せる化」を目指している。今後、人口減少する社会での国土。地域づくりの方向性と合わせた社会資本整備が必要となる。

ストック効果とは、整備された社会資本が機能することによって、整備直後から継続的に中長期にわたり得られる効果のこと。河川の関連では、生活環境の改善といった生活の質の向上効果、防災力の向上などの安全・安心効果がある。
・一つの施設の整備が様々なストック効果をもたらすことも重要。施設整備により、企業立地や民間設備投資の促進、観光振興、環境負荷の軽減、災害時のリダンダンシー確保、マーケットの創出・拡大などの複合的な効果が考えられる。
・社会資本を整備すれば生産性向上等の効果がおのずから「出る」という発想から、積極的にその効果を「引き出す」、「高めていく」という発想へと転換が必要。
・厳しい財政制約のなか、これまで以上に効果を高める工夫(「賢く投資・賢く使う」) を社会資本整備のあらゆるプロセスで講じ、社会資本整備のストック効果の最大化を実現。
・ストック効果の把握、「見える化」、「見せる化」を進め、国民との対話、気づき、理解の醸成に努める。
・ストック効果を高める工夫により得た知見を事業に有効活用し、社会資本整備のマネジメントサイクルを確立する。
・事業の計画段階や施設の運営段階など、施設のライフサイクルの全てのフェーズにおいて、それぞれストック効果を高める工夫に取り組む。
・施設の利用者、住民、関係する企業、周辺の地方公共団体や関連施設の管理者、まちづくり担当部局、交通担当部局、産業振興担当部局など、幅広い主体の参画を促す。
・事業実施により発現する多様な効果を念頭に、地域資源の活用にも留意しつつ、幅広くストック効果を高める取組を推進する。

(1) 「賢く投資」(投資面の工夫)
社会資本整備の、選択と集中の徹底を図り、事業の実施に際しては、事業の進め方を工夫し、最大限のストック効果を発揮させる。事業にあたっては、「民間投資の誘発」「複数事業の一体的実施」「ハード・ソフトの総動員」「小さな投資で大きな効果」「新技術の活用」などの観点に留意する。

(2) 「賢く使う」(施設運用面の工夫)
既存の社会資本について、運用面で工夫を行い、そのストック効果を最大限に引き出すこと、すなわち「賢く使う」ことが重要である。
・施設管理者が利用者や住民の利便性の向上を図る視点と施設価値や効率性の向上を図る視点の双方がある。
「賢く使う」に際しては、災害時の避難行動、通学路での交通安全活動など様々な場面で、地域住民、企業等の理解と協力が必要。
・既存施設の機能を最大限に発揮させるという観点から、施設の利用効率の向上を進める。
・施設の付加価値を高め潜在的な生産性を発揮するため、コストやリスクを勘案しつつ、施設の高度化、多機能化を推進する。
・ストック効果を高める上で、ビッグデータ等の情報の分析が有益である場合には、その分析結果を最大限に活用する。

(3)「賢く投資・賢く使う」の条件整備
「賢く投資・賢く使う」ためには、事業計画等に関する情報開示、地域との連携体制の構築等が重要。
・企業、地域住民との連携等を高め、行政手続の円滑化など、制度の運用改善に取り組む。
・企業、地域住民等が、事業のストック効果を、将来計画につなげるよう、事業計画や完成見通し等を積極的に発信する。
・地域における協力・連携体制構築し、利用者や住民の視点に立ち、事業主体と地域の間や地域内の多様な関係者間、関係行政部局間で総合的・継続的な協力・連携を行う。
・幅広いストック効果の迅速な発現のため、企業の新規投資等の行動を促進するため行政手続の円滑化を図る。

(4)ストック効果最大化のための留意点
・ストック効果の発現状況を多面的に計測するための指標を整備し、事後評価等においてこのような指標を可能な限り活用し、定量的・客観的に効果を把握・公表する。
・ストック効果の把握に当たっては、適切な統計情報、ビッグデータの活用が基本。データソースの活用方法、簡便な評価方法による効率的な実施手法等を整理、共有が必要。
・ストック効果について、幅広い情報を分かりやすく、定期的に提供。
・得られた知見を有効活用して、類似事業の計画・推進への反映や事業横断的な情報共有・横展開を行うという、社会資本整備のマネジメントサイクルを確立。

まとめ
社会資本整備において、幅広い関係者の参画や、過去の知見の習得・活用、事業横断的な視点などを複合的に組み合わせ、ストック効果を最大限発揮させることにより、社会資本整備の使命である地域の課題の解決に貢献することが重要である。

 

今日のコラム

天才(石原慎太郎著)を読みました。
田中角栄の生涯を描いた作品です。田中角栄とは日本の歴史上でも、屈指の為政者では
なかったか。もし彼が現代ではなく、もう少し過去の時代に生まれていたなら、天下を統べる英雄になっていたかもしれない。
日本とアメリカとの関係、金を汚いものとする風潮、出る杭は打たれる、そんな現代社会のなかで、我が国は稀代のリーダーを失ってしまったのではないか。この本の巻末に書かれた彼の手がけた法律の一覧を見て、そんなことを強く感じました。
道路法、河川法をはじめとする今でもこの国の骨格をなす法律が、彼の手によって作られていました。著者が最後に記した「もし今も田中角栄が日本にいたら」と言う言葉が印象的でした。いい意味でも、悪い意味でも日本を変える力をもった人物であることだけは間違いありません。