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技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO26

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西日本豪雨についてまとめてみました。
●概況
台風7号による暖かく湿った空気により梅雨前線の活動が活発になる積乱雲が次々と生まれるバックビルディング現象が発生し、複数のピークを持つ大雨が長時間継続した。
この豪雨により、土石流や斜面崩壊、河川氾濫などが広範囲に発生した。
 ○停滞する梅雨前線により広範囲かつ長時間の降雨により、甚大な被害が 発生、平成最大の死者数に。72時間の長時間降雨においても、観測史上1位の雨量を観測した経験したことがない豪雨だった。
広島県を中心にまさ土が広範囲に分布する中国地方では、土砂が下流に大量に流れ、河積を阻害した結果、市街地に大量の土砂を伴う氾濫が発生。土砂災害箇所数も1500近い数が発生した。
○広範囲で交通網が寸断され、経済、物流にも甚大な影響。
 ○雨量、土砂発生量が多い(土砂量はH26災の10倍:広島県

●特徴
土砂・洪水氾濫が発生
上流で同時に多発的に土石流が起こり、大量の土砂が河川に流出。強い雨が降り続いて河川が氾濫すると砂やレキが下流の市街地まで運ばれ広い範囲で堆積する現象。被害範囲は土石流より広いが、建物の破壊までには至らないケースが多い。これらの特徴を踏まえた避難方法、情報伝達を工夫する必要がある。
■石積砂防堰堤の決壊
建設時点では土石流についての知見がなく土石流による流体力や巨レキの衝撃力を考慮した設計となっていない。このため土石流の外力が堰堤の耐力を上回り崩壊に至った。
■地質的な特徴
中国地方に広く分布する真砂土(まさ)(花崗岩が風化したもの)の表層崩壊による土石流の発生。未風化の花崗岩である「コアストーン」(直径2m程度)の流下による被害の拡大。
■緩斜面での土石流の発生
通常傾斜角35度以上の急斜面で起こりやすい土石流が、表層に染み込んだ大量の水の重さに耐えきれず、比較的緩やかな斜面からも土砂が流出した。このため、土砂災害警戒区域から外れた場所で、土石流が発生した。
■小規模渓流からの土石流の発生
小規模渓流とは、普段は水の流れがなく、雨が降っても道路側溝で流せる程度の小さな谷や斜面のこと。今回の豪雨では、比較的緩やかなこうした地形でも土石流が発生した。
■バックウォーターの連鎖による堤防決壊
本流の河川が支流に回り込む「バックウォーター現象」が生じ、堤防が決壊。合流部に位置する町の大半が水没。また、さらに支流でも同様の現象が生じた。
■豪雨後の濁流の発生
豪雨が過ぎ去り避難勧告が解除されたあとに、川の上流で天然ダムなどによってせき止められた雨水や土砂が、堰の崩壊によって津波のように多量の泥流が下流に一気に流れ込む「段波」が発生し被害をもたらした。段波は、河川が想定する時間あたりの流出量を大きく氾濫を起こす可能性が高いとともに、雨水や土砂が山や河川のどこにたまるか予測することが難しい
■避難者がわずか0.3%
200万人に避難指示を出したものの避難所に避難したのはわずか6000人。避難割合は0.3%に留まる。また、ハザードマップが浸水深と浸水高さを的確に予測していたが、逃げ遅れなどにより50人以上が死亡した。避難情報や河川水位などの情報が早いうちから次々と出ていたが、それを活用しない住民の意識の変革が必要。

今日のコラム

戦争と平和百田尚樹著)を読みました。

本の中で一番印象に残ったのは「今後起こるかもしれない、最悪な事態は考えないようにする。」と言う日本人の思考の本質についてです。確かに自分の中にも、そのような考えがあることに気づかされました。著書で述べられている諸外国からの脅威についての対応もそうですが、土木技術者の課題である、災害対応すなわち活動期に入ったと言われる地震や、温暖化に伴い確実に増えてきている豪雨についても、その場面を、考えたくない、または考えないようにしている気持ちが、自分のなかにあると感じずにはいられませんでした。
そして、子供のころから知っている、アリとキリギリスの話を思い出しました。最悪の事態を想像した時に、私たちは現代を謳歌するだけではなく、税負担を大きくするなど無理をしてでも社会資本をきちんと整備して、巨大災害など有事に備えることが重要ではないかと思いました。そして土木技術者は、それに応えたしっかりとした施設整備を行っていくことが必要ではないでしょうか。