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土木のデザイン その2

「土木のデザインについて考える」の続きです。

 

景観は「視覚的」「身体感覚的」「意味的」の三つの観点から考えていくことができます。景観の計画や設計では常に3つのアプローチから考える必要があります。


視覚的アプローチ
 構図(眺めのバランス)を意識してアプローチ
 「見えの形」「構図的なバランス」「色彩調和」
身体感覚的アプローチ
  人が使いやすい、居心地のよい空間を考えていくアプローチ
  「快適な」「居心地のよい」空間、領域感覚
意味的アプローチ
  構造物がそこに位置する意味。人と人、ものとひと、ものとものの関係性によって生まれる意味、「らしさ」からのアプローチ
  「周囲との関係性」「歴史性」「象徴性」「個性」


視覚的観点から → 「よい眺め」を作るために
・自然な視点方向などの指標を参考として視点と視対象の関係を調整することを「環境デスプレイ論」といいます。
・伝統的な眺めや経験から「よい眺め」共通する特性を探ることができます。

景観デスプレイ論とは
 景観を構成する要素と視点の関係性を見えやすいよう調整することです。
 ちょうどいいバランスの場所→視対象の高さと視距離の関係の目安→メルテンスの法則
 よい眺め→人がモノを見る観点から、無理なく自然で合理的 

図とは、浮かび上がって見える部分で形をもつものです。

地とはその背後に広がっているように視覚される部分で形を持たないものです。これらは、人間に共有された知覚のシステムです。

木構造物も図、地になりやすいものが別れる。
形を持たない魅力的な「地」を作ることが重要となります。
テクスチェア→素材の表面の凸凹や肌面などの表情。自然石などは見る距離や角度により変化する奥行のあるテクスチェア。土木のデザインの仕事においては「図」となる形以上に「地」のデザインが大切となります。

色の3属性とは、次の3つを言います。
 色相→赤や黄色などの色味。明度→濃い薄いなど色の明るさ。彩度→鮮やかやくすみなど鮮やかさの程度。ていねいに冷静に色の組み合わせを検討することが大切です。

今日は視覚的観点からのアプローチについて書きました。

木構造物は、その土地の景観との関係性を十分に把握し、従来から土地の持っている景観を活かす、引き立てる、そんな土地との良い関係性をもった施設を創っていくことが大切だと感じました。

今日のコラム

 東野圭吾さんの「祈りの幕が下りる時」を読みました。
 4件の殺人事件がからむサスペンスであり、謎の多い物語でありましたが、読後は何故か爽やかでした。サスペンスというよりも、父と娘の愛の物語ではないかと思ってしまいました。人知れず密かに、彼ら以外の誰の目にも触れられることはないが、他の誰をも寄せ付けない強い父娘の絆を描いた、切ない愛の物語でした。