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技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO78

今日は前回の続きで「水系砂防計画」です。具体的な手順などを記載します。

 

1計画基準点の決定
基準点は、砂防基本計画で扱う土砂量を決定する地点である。基準点は砂防計画区域の最下流点及び河川計画との関連地点のほか、保全対象地区の上流、土石流区域と掃流区域の境界地点などその地域的特性を考慮して必要な地点に設ける。
特に、砂防計画対象区域の最下流点を砂防原点といい、一般に河川工事と砂防工事の目安として、現河床勾配 1/100 の地点を砂防原点としている。

2計画の規模
砂防基本計画の規模は、土石流区域においては、想定される土石流の規模とし、掃流区域においては、既往の災害、計画対象区域等の重要度、事業効果等を考慮して定めるものとし一般的には計画降雨量の年超過確率で評価するものとする。

砂防基本計画の規模は、土砂量の規模と洪水流量の規模を別けて定める。
・土砂量の規模は想定される最大規模の土砂量を対象に計画規模を定める。
・洪水流量の規模は、計画降雨量の年超過確率で評価する。

3基本土砂量の計画
(1)生産土砂量
(計画)生産土砂量とは、計画基準点より上流流域の山腹渓岸及び河床の土砂が想定される降雨により生産された土砂量をいう。
生産土砂量の原因となるものには次のものがある。
(イ)山腹及び渓岸の新規崩壊土砂量
(ロ)既崩壊拡大見込土砂量
(ハ)既崩壊残存土砂量
(二)河床堆積物の二次侵食による土砂量

(2)流出土砂量
計画流出土砂量とは、(計画)生産土砂量のうち、土石流又は流水の掃流力等により運搬されて計画基準点に流出する土砂量であって、既往の土砂流出、流域の地形、植生の状況、河道の調節力等を考慮して定める。

(3)許容流砂量
(計画)許容流砂量とは、計画基準点から下流河川等に対して無害、かつ必要な土砂として流送すべき量であり、流水の掃流力、流出土砂の粒径等を考慮して河道の現況及びその計画に基づいて定めるものとする。
許容流砂量の決定にあたっては、水系を一貫して眺め河道および流域の状況、海岸等へ
の影響を総合的に考慮する。水系内に基準点が複数あれば、相互の許容流砂量は技術的効果的に調和のとれたものにする。 許容流砂量の決定にあたっては、つぎの事項を考慮する。
イ)下流の河川計画
ロ)流水の掃流力
ハ)流出土砂の粒径
ニ)保全対象地域の被害状況

(4)超過土砂量
計画超過土砂量は、砂防基本計画における土砂処理の計画の対象となる土量であり、基準点ごとに計画流出土砂量から、計画許容流砂量を差し引いた量で定める。

A土砂生産抑制計画
土砂生産抑制計画は、降雨等による山崩れ、地すべり、河床・河岸の侵食等を抑制することによって生産源地域の荒廃を復旧し、更に新規荒廃の発生を防止するとともに、有害な土砂の生産を抑制するための計画。計画の策定に当たっては、生産源の状況、土砂の生産形態、土砂の流出形態、保全対象地区等を考慮して計画生産抑制土砂量を砂防堰堤、渓流保全工、山腹工等に合理的に配分する。

B流出土砂抑制計画
流出土砂抑制計画は、有害な流出土砂を砂防施設に貯留してその流出を抑制するための計画であって、計画の策定に当たっては土砂の流出形態、保全対象地区、地形、河床勾配、計画超過土砂量及び粒径、河道等の荒廃状況、砂防施設の土砂捕捉機能等を考慮して、計画流出抑制土砂量を砂防堰堤、砂溜工の計画貯砂量に合理的に配分する。

C流出土砂調節計画
流出土砂調節計画は、有害な流出土砂を砂防施設に一時的に貯留して、その後の流水によって安全に下流に流下させる量の調節のほか、流出土砂の粒径を調節するための計画であって、計画の策定に当たっては、土砂流出の形態、量、粒径、河道の現況及びその計画、保全対象地区等を考慮して、計画流出調節土砂を砂防堰堤等に合理的に配分する。

 

今日のコラム

私は読書が好きなのですが、読書の最大の効用のひとつに「事後性の克服」というものがあります。「事後性」とは、後になってから大切さがわかる、起きてしまってからくやまれる、という性質です。時間は過去から未来に流れ逆流はしないため、経験していない未来のことは知りようがないのですが、私たちは未来に向けて仕事をしないといけない。歴史や伝記、先人の経験等を読み込むことで、それを手がかりに、今後を予期し、そのための準備ができる。短い時間とわずかな費用で大きな経験を手に出来る。読書をして、「事後性を克服」しましょう。