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技術士(河川・砂防及び海岸)受験に役に立つブログNO42

国土強靭化計画についてです。一般論文でも出題される可能性があります。

はじめに
災害は、それを迎え撃つ社会の在り方によって被害の状況が大きく異なる。「事後対策」の繰り返しを避け、災害の様々な危機を直視して、平時から災害等に対する備えを行うことが重要。最悪の事態を念頭に置き、国土政策・産業政策も含めた総合的で長期的な対応が必要。
・人命の保護が最大限図られること
・国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること
・国民の財産及び公共施設に係る被害の小化
・迅速な復旧復興
平常時からの災害への備えることは、状況変化への対応力や生産性・効率性の向上や、新規市場の創出や投資の拡大等によって国の成長戦略にも寄与する。

国土強靱化の取組姿勢
強靱性を損なう本質的原因を把握して、取組みをおこなう。強靱性確保の遅延による被害拡大を見据えた時間管理概念と EBPM(Evidence-based Policymaking:証拠に基づく政策立案)概念の双方を持ち、長期的な視野を持って計画的な取組にあたること。
各地域の多様性を再構築し、地域間の連携を強化し、「自律・分散・協調」型国土構造の実現を図る。経済社会システムが有する潜在力、抵抗力、回復力、適応力の強化。

適切な施策の組み合わせ
・災害リスクや地域の状況等に応じて、防災施設の整備、施設の耐震化、代替施設の確保などのハード対策と訓練・防災教育などのソフト対策を適切に組み合わせて効果的に施策を推進する。
・「自助」、「共助」及び「公助」を適切に組み合わせ、官と民が適切に連携及び役割分担して取り組む。
・非常時に防災・減災等の効果を発揮するのみならず、平時にも有効に活用される対策となるよう工夫する。


効率的な施策の推進
・人口の減少等に起因する国民の需要の変化、気候変動等による気象の変化、社会資本の老朽化等を踏まえるとともに、整備に要する時間や財政に考慮して施策の重点化を図る。
既存の社会資本を有効活用すること等により、費用を縮減しつつ効率的に施策を推進。
・限られた資金を最大限に活用するため、PPP/PFI による民間資金の積極的な活用を図る。
・施設等の効率的かつ効果的な維持管理に資すること。
・人命を保護する観点から、関係者の合意形成を図りつつ、土地の合理的利用を促進。
・科学的知見に基づく研究開発の推進及びその成果の普及を図る。

基本的な進め方 ~PDCAサイクルの徹底~
国土強靱化は、いわば国のリスクマネジメントであり、
① 強靱化が目指すべき目標を明確にした上で、主たるリスクを特定・分析
② リスクシナリオと影響を分析・評価した上で、目標に照らして脆弱性を特定
脆弱性を分析・評価し、脆弱性を克服するための課題とリスクに対する対応方策を検討
④ 課題解決のために必要な政策の見直しを行うとともに、対応方策について、重点化、優先順位を付けて計画的に実施
⑤ その結果を適正に評価し、全体の取組を見直し・改善
という PDCA サイクルを繰り返すとともに、常に直前のプロセスに戻って見直すこ
とにより、国全体の強靱化の取組を推進する。

配慮すべき事項
・国土及び経済社会システムの構築や改変、改善に当たっては、平時における効率性・合理性の確保という視点だけではなく、各種のリスクの存在並びにそれらを見据えた災害対応力の向上及び長期的な効率性・合理性を確保する。
・国土強靱化を実効あるものにするためにも、国、地方公共団体のみならず、民間事業者等の主体的取組が極めて重要。
・企業・団体、地域住民、コミュニティ、NPO などの各主体が実施する自助・共助の取組が効果的で持続的なものとなるよう、実践的な訓練・教育、リスクの見える化の取組、平時からのコミュニティの活力維持(コミュニティのレジリエンス)、民間のスキル・ノウハウ、人材、技術や施設設備等の活用を促進。
・民間事業者への情報の徹底した提供・共有や連携(具体的な被害予測等を含む広報・普及啓発、協議会の開催等)、PPP/PFI を活用したインフラ整備や老朽化対策等を促進。
・地域社会、行政機関、企業、団体等におけるリーダーや多様な学術的背景を備えた防災分野の専門家、研究者等の育成・確保。
・災害の規模の予測と情報提供、被害状況の推定・収集、防災機関間での情報共有・分析、被災者・避難者への災害情報の提供等、インフラ・防災・減災のあらゆる場面に ICT(人工知能(AI 技術)、IoT、クラウドコンピューティング技術、SNS等) を活用。
・システムダウンや記憶媒体の損失への対応、情報収集・分析・伝達に関する要素技術やシステム等の研究開発や、リアルタイム・即時性、双方向性、地理空間情報(G空間情報)との連結等の機能を向上。

建設分野での具体的事例
・河川が氾濫した場合に湛水深が深くなり、甚大な人命被害等が生じる恐れのある区間への対応
・土砂災害へのソフト対策について、地方公共団体における災害リスク情報の整備や土砂災害に関する情報を改善
・航空輸送上重要な空港等のターミナルビル等について、非常用電源・電気設備への浸水等に対応
・幹線道路等の法面・盛土について、鉄道近接や広域迂回など社会的影響が大きい箇所において、土砂災害等に対応した道路法面・盛土対策等を行う。
・豪雨により流失・傾斜の恐れがある鉄道河川橋梁について対応。
・主要な外貿コンテナターミナルについて、コンテナ流出リスク、電源浸水リスク、地震リスク等の課題に対応。

キーワード
リダンダンシーの確保 BCP(事業継続計画)の策定・実効性担保
・発生頻度や被害の甚大さについて、調査研究
・より良い復興(Build Back Better)を意識した備え
・土地利用と一体となった減災対策、調査・観測データの収集・活用、災害危険箇所の把握、ハザードマップの作成推進及び周知徹底、避難の実効性を高める防災意識の啓発、災害監視体制の強化、災害発生前後の的確かつわかりやすい情報発信・伝達、警戒避難体制整備などのソフト対策を効率的・効果的に組み合わせた総合的な対策
・施設管理について、センサー・画像情報・無人航空機などの ICT を積極的に活用
・地域特性を踏まえた予防保全型のアセットマネジメントシステム
・各種災害リスク情報の一元化、社会インフラの新技術等の研究開発・科学的知見の充実等
災害関連情報の共有プラットホーム等の整備、迅速な復旧に資する体制・資機材等の充実及び先進技術の活用を推進
・海岸林、湿地などの自然環境が有する防災・減災機能を評価し、各地域の特性に応じて、自然環境の持つ「グリーンインフラ」としての機能を活用した防災・減災対策を推進
・災害リスクの高い場所への人口集中を緩和

今日のコラム

世界遺産厳島神社(国宝)中へ行ってきました。

厳島神社は、大胆で独創的な配置構成と言われています。平安時代からの寝殿造りの建物が潮が満ちると、海の中に浮かんだように見えます。行った時は、建物はほぼ海の中でした。朱色の神殿造りの建物は、本殿を始め、国宝と重要文化財のオンパレードです。行った時は人が多くいるためか凛とした空気は感じられませんでしたが、平家の時代から続く、厳かな建築美を十分堪能できました。特に朱色の丸い柱の美しさ、写真を沢山撮りました。

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厳島神社